つれづれ美術手帖

アート関連のアウトプットブログです。

世界の青、日本の青

現在西洋画でよく言う「青」と、日本画でよく言う「青」では、原料が違います。

日本では、環境の違いや、使用される特有の画材の違いから、世界とは違う「青」が発展していきました。

今日は、そんな「世界の青と日本の青」について、お話しようと思います。

 

 

世界の青「ラピスラズリ

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ラピスラズリは、ラテン語で「群青の空の色」を意味します。

ヨーロッパの近くでは、アフガニスタンでしか採掘されない大変貴重な鉱石で、金と同等かそれ以上の高値で取引されている時代もあったようです。

そんな貴重な鉱石が、地中海を越えて海路で運ばれたため、「ウルトラマリン(海の向こうから来た青)」とも呼ばれました。これはアクリル絵具でも聞く「ウルトラマンブルー」ですね。

日本画の絵の具としては「瑠璃(るり)」という名前で販売されています。

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神聖な青「ラピスラズリ

ユダヤ教旧約聖書では、モーセが持った石板はラピスラズリであったとされています。

(しかし、絵画で描かれるモーセの石版は黒か灰色でしか見たことがありませんが…笑)

イスラムのモスクにも使用されている色であったり、エジプトでは「天空と冥界の神オシリスの石」とされました。

フェルメールも、この青を良く使ったことで有名です。

 

 

日本の青「群青(ぐんしょう)」

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原料は藍銅鉱(らんどうこう)、アズライトと呼ばれる石です。

ラピスラズリより深く強い青色で、その美しさから、古来、貴重な顔料として使用されてきました。

日本では、小さじ1杯ほどの絵の具で米1俵買えるほどだったとか。昔の生活費を思うととんでもない額ですね。

絵画としては、最古のもので「高松塚古墳壁画」(600年末頃)に使用されていることが分かっています。

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群青は日本を含む様々な国で採取でき、昔は瑠璃より頻繁に絵画に使用されていました。

しかし、化学的に不安定な鉱石で、油に弱く、緑色に変色してしまう欠点があったため、油絵には適しませんでした。

西洋絵画でも、群青は使用されていますが、現在は緑に変色してしまっているのです。(修復されているものもありますが…)

また、ヨーロッパではトルコ人が占領していた時期もあり、なかなか手に入らない時期もあったとか。

そんなことから、現在群青(アズライト)は日本画でのみ使用される絵の具となりました。

 ちなみに、群青という名前は、砕いた青い鉱物の集まり(郡)ということから名付けられたと言われています。そのまんまですね笑

 

 

 

いかがだったでしょうか

どちらも絵の具として使用された顔料ですが、西洋画と日本画で好んで使用された絵具が違うというのは、興味深いですね。

ぜひ、機会があれば見比べて欲しいと思います。

 

内容の認識違い等ありましたら、ぜひコメント等で教えてください

 

 

 

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投稿 2020.02.26

更新 2020.06.02

参考