絵巻物の概要 技法・鑑賞方法について
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*絵巻物とは*
概 要 風景や物語などを書いた本の一種
支持体 紙や絹・麻
内 容 物語・風景・戦争・説話
読み方 肩幅に広げて、右から左へ
技 法 吹抜屋台・異時同図法
絵巻物とは、紙や絹などを水平方向に、横長くつなげた、ページのない本です。
やまと絵の流れを汲んでいる作品が多くみられ、
詞書(ことばがき)という、絵に添えられる説明文があるものとないものがあります。
絵巻物で最古のものは奈良時代に制作された絵因果経(えいんがきょう)
(写真)絵因果経 奈良時代
この作品は、仏教の釈迦の前世から悟りを開くまでの話を綴ったものです。
絵因果経では上半分が絵、下半分が物語の説明文(詞書)となっており、この形式は平安時代の作品にもよく見られます。
その後、平安時代には文字や書道の発展とともに絵巻物の文化が発展し、伊勢物語などの物語絵巻が描かれます。
この頃に、三大絵巻物とされる
・伴大納言絵巻
などが制作されます。
(写真)伴大納言絵巻 作者不明 平安時代末期
鎌倉・室町時代には、戦記絵巻物や縁起絵巻など種類豊富になっていき、庶民に向けた作品も出てきて、絵巻物の最盛期を迎えます。
※縁起絵巻とは、あるお寺(または神社)の建てられた由来やご本尊の説話について描かれた絵巻物のことです。
(写真)松崎天神縁起絵巻 1311年 防府天満宮蔵
*読み方
展示ではよく、ずらっと並べて展示されていますが、絵巻物はそもそも肩幅に開いて鑑賞するものです。
そのため、ストーリーも肩幅の幅で展開していきます。
当時は貴族の社交界のような場で、複数人で読んで楽しんでいたようです。
*絵巻物の技法
絵巻物は、他にない横長の画面で、連続した絵の中で物語を描くものであるという特徴から、独自の技法が発展していきました。
今回はその技法のうち2つをご紹介したいと思います。
*吹抜屋台(ふきぬきやたい)
(写真)源氏物語 藤原隆能(ふじわらのたかよし) 12世紀前半 徳川美術館
室内の様子が分かるように、建物の屋根と天井を描かない技法のこと。
こちらの技法、絵巻物以外にも使用されますが、絵巻物によく見られる技法です。
この手法のおかげで、建物の中と外で起こっているストーリーが同時に描けるようになりました。
*異時同図法(いじどうずほう)
同じ一つの画面の中に同一人物が複数回登場して、時間の流れを表す手法です。
漫画でいうコマ割りの、「コマ無し」表現、でしょうか。
この技法の最古の例は仏壇に描かれた絵ですが、絵巻物の発展により主流の表現技法となりました。
絵巻物の読み方と同じように、右から左へ時間が流れていくルールとなっています。
『信貴山縁起絵巻』
東大寺大仏殿へ行き尼君がお祈りする場面
わかりにくいですが、尼君が参拝に来て、お祈りを終えるまでの一連の流れが描かれています。
(詳しく解説されているブログを見つけましたので、知りたい方は下のリンクからどうぞ)
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投稿 2020.03.08
更新 2020.12.04