つれづれ美術手帖

アート関連のアウトプットブログです。

かわいすぎる!邪鬼(じゃき)

*邪鬼(じゃき)とは*

・人間に祟りをなす鬼のこと
・仁王像や四天王像に踏みつけられた状態でよく描かれる

法隆寺の屋根に注目

 
邪鬼は、人間に祟りをなす鬼のことで、人間に悪さを働いたため、よく仏の守護神である四天王や仁王などに踏みつけられています。

そんな「悪い」鬼の邪鬼ですが、実はひそかな人気を集めている鬼でもあります。

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なぜそんな邪鬼が人気となっているのか。

ここからは、その魅力について考えていきたいと思います。


*表情がおもしろい*

釈迦や如来は優しく、四天王や金剛力士などは強そうに、など、よく描かれる仏教のモチーフには、それぞれある程度固定のイメージがありますが、邪鬼はそれがありません。

邪鬼は、表情がとにかく豊富です。苦しんでいたり、憎しみをもって四天王を睨んでいたり、諦めていたり、必死にもがいていたり・・・
表情に決まったイメージがない、という部分が、大衆をひきつける邪鬼の魅力の一部ではないかと思います。
特に、興福寺には様々な邪鬼が所蔵されています。

 

 

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(写真)興福寺東金堂 木造四天王立像 国宝 平安時代
有名な四天王立像。こちらの四天王の足元には様々なポーズと表情をした邪鬼がいます。

必死に踏ん張っていたり、反抗していたりといろんな感情を抱いている邪鬼が見て取れます。

目がぎょろっとしていて少し怖いですね。

 

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(写真)興福寺国宝館 木造天燈鬼・龍燈鬼立像(てんとうき・りゅうとうきりゅうぞう) 国宝 鎌倉時代
興福寺国宝館には、邪鬼がメインの珍しい像があります。
この2体の邪鬼は、人に悪さをした罰として、仏を照らすための燈籠(とうろう)を持ち続ける役目を果たしています。
特に左に配置される龍燈鬼(りゅうとうき)。凛とした立ち居振る舞いがかっこいい像ですね。

 

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(写真)東大寺戒壇堂 四天王像
こちらの邪鬼も何とも言えない表情をしています。

先ほど紹介した邪鬼よりも強がっているように見えます。

注目すべきはその手足の指。こちらの邪鬼の手は3本、足は2本で作られています。

指先まで力強く表現されている

もしかしたらモチーフは動物なのでは?とも言われているそうです。

ちなみに東大寺の大仏殿の前にある線香立ての足元には、線香立てを支える邪鬼がいます。こちらも必見です。

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(写真)法隆寺 五重の塔
屋根の四隅を支え続けている邪鬼。確か真ん中あたりの屋根だったはず・・・
こちらは、いたずらをした邪鬼が「ずっとここで柱を支えて罪を償いなさい!」という理由で法隆寺の屋根を支え続けているのだとか。
何百年も…ちょっと可哀想ですね笑

 

 

*邪鬼は人々の戒め的存在*

邪鬼は、人々の戒め的存在であったと考えられます。


例えば、

仏に逆らう勢力

信仰を妨げる迷いの心

悪い行いをしようとする人

…などの戒めです。


邪鬼は、四天王像に踏みつけられて描かれることで

「俺みたいに悪い考えを持つとこんな目にあうぞ」と、身を持って教えてくれているのです。

そのようなことから、邪鬼自体は鬼ですが、「邪悪なものを払いのけてくれる」といったような意味の役割も担っていたとか。


「邪鬼を見ると自分の行動を振り返ることができる」

ということは、邪鬼が人気な理由の一つかもしれません。

 

 

 

いかがだったでしょうか。

内容の認識違い等ありましたら、ぜひコメント等で教えてください

 

 

 

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投稿 2020.03.13

更新 2021.01.13

参考
興福寺公式HP http://www.kohfukuji.com/property/cultural/104.html