道釈画とその登場人物について
こんばんは、ふみです。
今回は道釈画と道釈画によく出てくる人物についてご紹介します。
*道釈画(どうしゃくが)*
意 味 道釈(道教と仏教)関係の人物画
時 代 日本では鎌倉・室町時代に流行
人 物 出山釈迦、維摩、羅漢、観音、達磨(だるま)、寒山拾得など
特 徴 水墨画が多く、のちにやまと絵の要素を取り入れた道釈人物画も登場する
以下では、道釈画でよく描かれる人物について、ご紹介します。
*出山釈迦*
釈迦のおもな特徴(三十二相といって、仏は32の特徴があります)
・螺髪(らほつ)・・・貝のような巻き毛。考え事をしすぎて髪の毛が縮れた。
・肉髻(にっけい)・・・頭の真ん中の盛り上がっている部分のこと。
・白毫(びゃくごう)・・・眉間あたりにある白い点。髪の毛でできている
・水かきのある手・・・多くの人を救えるように
特に、出山釈迦は、6年間の修行ののち,さらなる真の悟りを求めて雪山を出る釈迦のことをいい、道釈画でよく描かれる画題です。
(写真)出山釈迦図 梁楷筆 13世紀 118.4×52.0cm 1幅 国宝1幅
*維摩(ゆいま)*
大乗仏教の経典「維摩経」の主人公で、古代インドの町の長、学識と徳をもつ信者。
維摩が病気になった時、釈迦の弟子を代表して文殊菩薩が訪れたとされています。
(写真)維摩詰 呉道玄
*羅漢(らかん)*
仏教において最高位の悟りを開いた、尊敬や施しを受けるにふさわしい、徳の高い僧のことを言います。
(写真)羅漢画 逸然 性融(いつねん しょうゆう)1601-1668年
*観音(観世音菩薩)*
菩薩とは、悟りを開く前の仏のこと。特に観音は世間の出来事を観察する菩薩のことです。
観音は救いを求める人の思いに応じて、様々な様相に変化すると言われています。
菩薩はまだ悟りを開いていないため髪の毛は縮れておらず、華やかに描かれます。
また、観音菩薩は世間の様子をくまなく観察し人々を救えるように、11面の顔を持っていたりたくさん手があったりします。
(写真)白衣大士観瀑図 逸然性融 1601-1668年 長崎歴史文化博物館蔵
*達磨大師(だるま)*
特徴
・濃い顔(堀が深い)
・眉毛が垂れている
・丸いピアスをしている
・たまに前歯が2本出ている
・赤い衣で体全体をすっぽり覆っている
(写真)達磨図 蘭渓道隆 1213-1278年 向嶽寺 国宝
達磨は禅宗の開祖の僧です。
よく座禅している姿で描かれますが、これは達磨が岩の前で9年間座禅をし続けて立てなくなったという逸話から生まれています。
「だるまさんがころんだ」というのも同じ理由です。
*寒山拾得(かんざんじっとく)*
寒山拾得とは、寒山と拾得という2人の詩のうまい架空の僧侶のことです。
寒山は寒山という山の洞窟に住んだ僧、拾得は僧に拾われた僧だとか。
ともに世俗を超越した奇行が多く,また多くの詩を作ったといわれています。
のちの禅僧などが彼らのふるまいや生活に憧れ、好んで描かれた伝統的な画題です。
(写真)四睡図(しすいず) 黙庵霊淵(もくあんれいえん) 14世紀中ごろ 73.4×32.4㎝ 前田育徳会 重文
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このブログでは、元美大生の筆者が、日本の絵画を中心に、毎日少しずつ語っていきます。ぜひコーヒー片手に、空いた時間に読んでもらえたら嬉しいです。
それでは、また明日
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投稿 2020.03.20
更新
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