つれづれ美術手帖

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画賛 掛軸の「賛」について

こんばんは、今日は掛軸によく見られる「画賛(がさん)」について、お話しします。

 

*概要*

意 味 鑑賞者が作品に書く賛辞

時 代 平安時代

分 類 漢画 掛軸に多い

題 材 人物(頂相)・風景が多い

特 徴 詩(漢詩・和歌・俳句など)が書かれることもある

その他 禅宗では子弟の引き継ぎに重要なものだった

 

 

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(写真)老人六歌仙画賛 仙厓 江戸時代 43.2×53.9cm 出光美術館

(賛といえばこの後の二作品のほうがよく見る形ですが、こんなゆるっとしたものもあります)

 

 

 画賛は、賛(さん)ともいい、ある人がその絵を見たことや、その絵に対する評価を絵の余白に書いたもののことをいいます。

平安時代ごろ、禅の教えとともに中国から入ってきた文化です。

普通絵画の上の、空白部に書き込まれており、余白が少ない場合別の紙に書いて繋げる場合もあります。

画賛は普通、鑑賞者が書くものですが、作者自らが賛を書くこともあり、そのことを自画自賛と言います。

 

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(写真)瓢鮎図(ひょうねんず) 如拙 1415年頃 111.5×75.8cm 退蔵院 国宝

この画賛は、印を見て分かる通り、いろんな人に書かれていますね。

ちなみに、賛を書く場所もその人の「格」によって違ったとか。確か左上が一番偉い人だったような…分かる方いらっしゃればコメントお願いします(笑)

 

 

*中国での画賛*

中国における画賛は、日本とは少し違う意味でした。
中国の画賛は、人物画に付けられるもので、描かれた人物の事跡(なしとげたこと)を書いて、どれだけ素晴らしい人であるか示すものでした。
賛というのは唐代の呼び方で、のちは「題」「跋」と呼ばれたようです。

 

 

 

禅宗における画讃*

禅宗の中では、とくに修行を終えた弟子に自分の頂相(肖像画)に画讃をいれて、弟子に与える習慣がありました。

この、師匠の自画自賛入りの頂相を受け継ぐことで、「この師に師事してもらった」ということを証明するものとなったようです。

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(写真)真言七祖像 伝李真 平安時代 教王護国寺(東寺)

こちらは、密教を伝えた空海真言七祖像の上部に書いた賛。古い賛の例です。

 

 

 

いかがだったでしょうか

内容の認識違い等ありましたら、ぜひコメント等で教えてください

 

それでは、また明日

 

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投稿 2020.05.04

更新 

参考 

出光美術館 老人六歌仙画賛

http://idemitsu-museum.or.jp/collection/sengai/sengai/06.php