つれづれ美術手帖

アート関連のアウトプットブログです。

日本の表現主義

こんばんは、今日は日本の表現主義(インプレッショニスム)について、お話しします。

 

 

*概要*
時 代 明治末から大正時代(1890-1926年頃)
分 類 前衛芸術
題 材 人物・風景・動物など
受影響 印象派フォーヴィスム
その他 絵画の他に版画・映像・演劇・音楽など幅広く影響がある

 


日本の表現主義については、黒田清輝印象派の影響を受けた画家たちから、大正時代の前衛的な画家までの、非常に広範囲のものとしてとらえられています。

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(写真)湖畔 黒田清輝 1897年 69×84.7cm
印象主義的な作品も含めて表現主義の作品としているので、その見解は適切なのか?という意見もあるようですが…

とりあえず日本の表現主義はそのようなとらえ方だということでいいのだと思います。

個人的には、表現主義とは自分の主観を表現することだ、という考え方からすると、印象派の作品も含まれる、というのはもしかしたら正しいのかも、と思いました。

 

画家集団で言うと、白馬会・フウザン会や二科展など。
前回紹介したフォーヴィスムキュビスムといった運動も、表現主義という大きな枠組みの中に含まれています。よかったらそちらも合わせて読んでもらえると嬉しいです。
(日本のフォーヴィスム)https://funart.hatenablog.com/entry/2020/05/01/172720
(日本のキュビスム)https://funart.hatenablog.com/entry/2020/04/24/172546

 

非常に広範囲な日本の表現主義ですが、それらに共通するのは「反アカデミズム」でしょうか。
それぞれの時代での伝統的な芸術の価値観に疑問を持ち、それぞれの生きる時代にふさわしい表現を求めて苦闘した作家たちだということは間違えないと思います。

 

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(写真)ボアの女 萬鉄五郎 1912年 岩手県立美術館
萬鉄五郎は、フォーヴィスムの先駆けとなった作品「裸体美人」を描いたのと同じ年に、このような表現主義の影響を感じる作品も描いています。
フォーヴィスムのように感覚的で激しい色彩ではないものの、白すぎる肌の表現、女性の表情、服装の緑と赤の対比などには萬の思いを感じます。
ちなみに、この構図はゴッホの「タンギー爺さん」から引用したものと考えられているそうです。

 


*幅広い分野で起こった*
表現主義は当時の非常に幅広い分野で起こった運動です。
彫刻や版画の分野でも大きな変化があったようです。
昔ながらの伝統と新しい表現の流れがぶつかり合い、美術史が大きく変わった時代であることは間違えないといえるでしょう。

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(写真)手 高村光太郎 1918年
詩人で彫刻家でもある高村光太郎(みつたろう)は、アメリカ・ロンドン・パリに渡り、世界を見てきました。
その後日本に帰り、旧体制のまま変わらない日本の芸術に疑問を持ち、「緑の太陽」(1910年)という評論で、芸術の自由を宣言しました。

有名な彫刻作品の「手」はその後の作品。これは高村の芸術家としての決意の表れだったとか…

その観点からも、この作品も表現主義の一つの作品であると言えますね。

 

 

 

いかがだったでしょうか
内容の認識違いなどありましたら、ぜひコメント等で教えてください。
それでは、また明日
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投稿 2020.05.09
更新 
参考 

文化遺産オンライン ボアの女
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/36621

高村光太郎 彫刻 手について テレビ東京バックナンバー

https://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin_old/backnumber/071201/