葛飾北斎 肉筆画
こんばんは、今日は葛飾北斎の肉筆画について、お話しします。
葛飾北斎は、浮世絵版画で有名ですが、肉筆画も多く描いた人物です。
以前ご紹介したことがありますが、
浮世絵版画は、版元から依頼があり、原画を描く人・彫る人・摺る人と多くの人間が関わった共同制作の作品です。
そのため、浮世絵版画というものは必ずしも原画師本人が描きたいものでなかったりします。
北斎の肉筆画には、版画では見られない繊細さと力強さがあり、また違った魅力があります。
今回はそれらの一部をご紹介します。
(写真)四季耕作図屏風 葛飾北斎 1800年頃 岡田美術館蔵
優しい色彩農村風景を描いた一枚。
北斎が1年間農作を行った体験から描くに至ったそうです。
よく見ると田植えや土おこしをしている様子や、カラスの飛んでいる様子を繊細に描いています。
(写真)二美人図 葛飾北斎 1801-1804年 MOA美術館 重要文化財
北斎45歳、「葛飾北斎」を名乗り、どの流派にも属さない独立した絵師としての再出発をした頃の作品です。
やわらかな人物表現は土佐派を思わせるやまと絵風であり、色調は独自のセンスか、ほかの作品よりも落ち着きのあり繊細な印象を受けます。
(写真)酔余美人図 葛飾北斎 1807年 26.5x32.3 鎌倉国宝館
酒に酔い三味線を入れる箱にもたれている芸者を描いた一枚。
着物は荒々しいタッチで、布の重厚感を感じます。
顔や手の表現は、服の表現とは真逆に繊細を極めています。
版画では描き切れないごく細い線で、紙の分け目を丁寧に描いているところも必見です。
(写真)夏の朝 葛飾北斎 19世紀初頭 岡田美術館
慌ただしい女性の朝の身支度の様子を描いています。
服が乱れている様子は、こちらも太い線で表現されています。
タイトルにもあるように、金魚鉢や夏の植物なども描かれています。
(写真)日新除魔(にっしんじょま) 葛飾北斎 1843年頃
当時、北斎が日々の日課として描いた作品群です。
躍動感のある筆運びやおどろおどろしい表現や、水墨画ならではのみずみずしさが感じられます。
80代の老年期と思えない作品群ですね。
(写真)鳳凰図 葛飾北斎 東町祭屋台
どこから見てもこちらを見て睨んでいるような様子から、「八方睨み鳳凰図」というあだ名が付いている作品。
今にも動き出さんばかりの迫力で見る者を圧倒します。
高価な顔料を豪華に使用した極彩色の鳳凰は、北斎最晩年の傑作を呼ぶにふさわしい作品です。
いかがだったでしょうか
内容の認識違い等ありましたら、ぜひコメント等で教えてください
それでは、また来週
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投稿 2020.09.04
更新
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