つれづれ美術手帖

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伊藤若冲 樹下鳥獣図屏風

*樹下鳥獣図屏風*
作 者  伊藤若冲
時 代  江戸時代中期
年 代  18世紀
居住地  江戸
分 類  奇想の絵師
特 徴  他に例のない技法、鮮やかな色彩
技 法  枡目描き
題 材  動物・鳥
その他  137.5×355.6cm

樹下鳥獣図屏風は、江戸時代中期の画家・伊藤若冲が描いたとされる作品です。
「枡目描き」と呼ばれる技法で描かれた本作品は、まさに「奇想の絵師」のあだ名に相応しい、若冲の独創性が発揮された作品とも言えます。
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*題材は様々な世界の動物*

樹下鳥獣図屏風は、1双(2つの屏風が1つの対)の作品として知られていますが、元々は別の作品として伝わってきたものです。

様々な種類の動物が、右隻は「獣」ばかり、左隻は「鳥」ばかり集めて描かれています。

右隻のモチーフ
・身近な実在の動物
 犬・猫・兎・猿・馬・熊・牛・猪・ムササビ・鼠 など
・外国の実在動物
 獅子・トラ・ヒョウ・白象・麒麟・ラッコ など

左隻のモチーフ
・身近な実在の動物
 鶏・孔雀・七面鳥オシドリ・雁・ガチョウ・白鷺・セキレイ・ウズラ・オウム・インコ など
・空想の動物
 鳳凰 など

その動物は、当時身近なものから、外国のもの。また空想上の生き物まで、様々な動物が描かれています。

また、それぞれの屏風の主役が白象・鳳凰であることから、おめでたい屏風であるとも言われています。



*枡目描き*

マス目描きは、若冲が発明したと考えられる独自の描法です。
具体的には、モザイク画のような手法で、画面を約1cm四方のマス目で区切り、その一マスごとに色を塗り分けていく技法です。
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若冲は、そのマス目の中に、同色の淡色・濃色2~3色を重ねることで、立体感や陰影を表現しました。
ちなみに、マス目の数は1双全体、合計で11万個以上あるそうです。

同じ技法が使われた作品で、現存するものは2点のみ。それも、どちらも若冲が描いたとされるもので、樹下鳥獣図屏風との関連が指摘されています。
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(写真)鳥獣花木図屏風 エツコ・ジョウ プライス コレクション/カリフォルニア
こちらの作品はぱっと見わからないほどに樹下鳥獣図屏風と類似した作品。

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(写真)白象群獣図 個人蔵


*発想源*

発想源は西陣織の下絵である正絵(しょうえ)や、朝鮮の紙織画(ししょくが)なのではないかという説があります。
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(写真)正絵帖 正絵帖とは、西陣織のした絵で、実際の織物の模様と同じ大きさ・色で描いた下絵のこと。
若冲はこの西陣織の制作工程での制約に注目して発想を得たのではと言われています。

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(写真)紙織画 細長く切った色紙を、篭を編むように織って描く技法。単色の方眼が集まることで、立体感や陰影を感じさせる効果を狙ったものです。
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いかがだったでしょうか
内容の認識違い等ありましたら、ぜひコメント等で教えてください

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投稿 2020.01.16
更新 
参考 
静岡県立美術館 若冲《樹下鳥獣図屏風》
http://spmoa.shizuoka.shizuoka.jp/collection/jakuchu/

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