つれづれ美術手帖

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土佐広周

*土佐広周(とさひろちか)*
生 誕  不詳(1429-1487年)
時 代  室町時代中期
居住地  兵庫
分 類  土佐派
代表作  四季花鳥図屏風
特 徴  緻密で繊細な表現
題 材  花鳥画・絵巻物・仏画・似絵(肖像画)
受影響  土佐行広


土佐 広周は、室町時代中期に活躍した土佐派の画家です。
父は土佐の姓を初めて名乗ったとされる土佐行広。
幼年期のころから、父に伝統的な大和絵を学びました。
経歴についてはほとんど不明ですが、
1438年ころには室町幕府や皇室に献上する絵画を数多く制作したことで、丹波(現在の兵庫県)に自身の私有地を与えられたと言われています。
ここから先は、有名な二つの作品についてご紹介します。

*四季花鳥図屏風*

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(写真)四季花鳥図屏風 土佐広周 15世紀 150×361cm サントリー美術館 重要文化財
花木や草花を季節に合わせて描いた作品。
横並びの空間構成が印象的ですが、
右隻は春から夏にかけて、左隻は秋から冬にかけての花木や蝶が飛び交っています。
花木は椿、梨、薔薇、梅、牡丹、菊、ハナカイドウ、トロロアオイ、など。
花木の間に小鳥が描かれ、季節ごとの繋がりや動きを持たせています。
外来から来た花や鳥も多く描かれています。
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近くで見ると緻密で繊細な筆致が分かります。


天稚彦草子*

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(写真)天稚彦草子 土佐広周 15世紀 ベルリン東洋美術館
七夕伝説を題材とした御伽草子
伝統的な大和絵を受け継いだ、緻密な画風で、人物も可憐に描かれています。

天に住む海龍王天稚彦は、地上で長者の娘と結ばれるが、天雅彦は本性を明かし天へ帰ってしまう。
娘が追いかけて天に向かうと、天雅彦の父(鬼)が難題をもちかけ二人を引き裂こうとする。

鬼が出した難題は、「千石の米を一粒残さず別の倉に運ぶ」というもの。
二人はこれをなんとか解決し、年に一度7月7日だけ会うことを許されるようになりました。




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投稿 2021.01.31

更新 

参考 

サントリー美術館 コレクションデータベース 天稚彦物語絵巻
https://www.suntory.co.jp/sma/collection/data/detail?id=612

土佐派とは
https://funart.hatenablog.com/entry/2020/04/21/172014

土佐三筆
https://funart.hatenablog.com/entry/2020/12/11/192212