ベラスケスとピカソ ラス・メニーナスの比較鑑賞
ベラスケスの描いたラスメニーナスは、多くの画家が模倣してきましたが、
中でもこだわって何度もラス・メニーナスを描いたピカソのラス・メニーナスについて、
原作を比較しながら双方の作品を鑑賞していきたいと思います。
*ラス・メニーナスとは*
作 者 ディエゴ・ベラスケス(1599-1660)
年 代 1656年
分 類 バロック
特 徴 光の明度によって遠近感を表現
様々な解釈ができる
その他 世界三大絵画
(写真)ラス・メニーナス(女官たち) ディエゴ・ベラスケス 1656年 プラド美術館
ラスメニーナスはスペインを代表する画家・ベラスケスが描いた晩年の作品で,世界三大絵画の一つに数えられる有名な作品です。
タイトルの「ラス・メニーナス」とは、「宮廷の侍女たち」という意味。
舞台はベラスケスのアトリエで,中央にいるのはマルガリータ王女。
描かれた当時は5歳だったそう。
そしてその左右に世話をしている二人の侍女が描かれています。
ひとりはあやすように跪き、もう一人は、宮廷式のお辞儀をしています。
マルガリータ王女の左上には鏡に映った男女がおり,こちらは国王夫妻と言われています。
よく見るとここに描かれた人々はみんな同じ方向を見ており,どうやら,国王夫妻を見ているのではないかと言われています。
*様々な解釈*
ラス・メニーナスには,その特殊な構図やモチーフなどから,場面や目的について,様々な解釈ができる宮廷絵画としても知られています。
・画家が王女の肖像を描いている最中に突然がアトリエに現れた
・国王夫妻の肖像を描いているところへお供の者を引き連れて王女が現れた
・鏡に映るフェリペ4世夫妻を描いている最中の絵画
・スペイン王国を正式に継ぐのはマルガリータ王女であるとアピールするための絵
など
また、画面左下にいる2人は道化師と言われる、体が不自由な人です。
この時代では、このような「普通と違う」特徴を持った人が滑稽な格好や言動などをして宮廷の人々を楽しませていました。
道化師は身分も低く蔑まれていたため、普通の宮廷絵画には出てこない人物です。
あえて道化師を描いたことには何か理由があるのでしょうか?
年 代 1957年
分 類 後期印象派
特 徴 色彩の明暗だけで光度を表現
その他 58枚も描いたピカソ初の連作
75歳を過ぎたピカソが描いた
(写真)ラス・メニーナス パブロ・ピカソ 1957年 194×260cm ピカソ美術館
ベラスケスの描いたラス・メニーナスを、ピカソなりに解釈し、リズム・色・動き・人物の特徴・光の当たり方などを変えながら描いた作品。
ピカソはベラスケスのラス・メニーナスに感動し、約5か月もの間、プラド美術館に通い詰めて徹底的に分析、研究しました。
ここからは、その作品たちを見ていき、最後にピカソの残した言葉をご紹介します。
*ピカソの残した言葉*
「ベラスケスの作品を忘れて,人物の位置,光の表現方法を変えながら独自の画風で描く。そうすることで,自分自身の作品になる。」
ジェーム・サルバテに対して話した内容
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投稿 2021.02.12
更新
参考
感性を育てるアートチャンネル on stand.fm
https://stand.fm/channels/5f5aa2a0f04555115d2e85e4
アプリもありますが、ダウンロードしなくても視聴頂けます