つれづれ美術手帖

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魔法の絨毯? 吉備大臣日東絵巻

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*基本情報*

作 者 不明(常盤光永?)

時 代 12世紀末〜13世紀初め

分 類 絵巻物(伝承物語)

特 徴 特殊能力を使う

技 法 絵具の使い分け

内 容 唐の役人の無理難題を解決する

主人公 吉備真備(きびのまきび・奈良時代遣唐使)

 

 

*ストーリー*
主人公の吉備大臣は唐に渡ると、唐の役人に怪しまれ、鬼の出るという楼閣に軟禁されます。
鬼は噂通り現れましたが、正体は同じ遣唐使阿倍仲麻呂の幽霊でした。
唐の役人に、難しい本の解読や囲碁など、様々な勝負をもちかけられますが、吉備真備は幽霊の助けを受け、なんとか難題を解決し帰国できました。

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(写真)現れた鬼は、なんと同僚でした。

 


吉備大臣日東絵巻の面白い所は、「幽霊の超能力を駆使して難題を解くところ」です。

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(写真)飛行自在の術で宮廷に向かうシーン。
座布団の上に乗っています。まるで空飛ぶ魔法のじゅうたんですね。
ちなみに、鬼に扮した阿部仲麻呂は、幽霊なので顔が赤くなっています。

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(写真)イカサマをして碁石を口に含むシーン。
この後、下剤を飲まされ、ばれそうになりますが、お腹に碁石を留める超能力で助かります。

 


作者は、同時期の有名な絵巻物「伴大納言絵巻(ばんだいなごんえまき)」の作者である、常盤光永、または常盤光永の画風を真似した絵師ではないかと言われています。

そう言われる理由は、建物や動物の細かな描き方、絵具の使い方がよく似ているためです。

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常盤光永は、同じ色でも、描く対象によって絵具を使い分けていました。
普通、人の顔は白土や胡粉といった白の絵具を使用します。
しかし、この作品では、主人公や身分の高い人物には鉛白(えんぱく)という絵具が使用されています。

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鉛白は中国産の光沢のある白い絵具で、高価であったようです。
細かいこだわりが垣間見えますね。

 

 

 

 

 

 

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投稿 2020.03.03

更新 

参考 wikipedia 
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/吉備大臣入唐絵巻