つれづれ美術手帖

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水墨画 中国・日本それぞれの歴史と特徴

水墨画とは

墨で表現される墨絵(すみえ)の一つ。
中国唐代に成立したとされています。
英語訳は「ink painting」または「Chinese ink painting」
まれに、Zen(禅) painting と呼ばれる事もあります。

中国での水彩画の歴史と特徴

墨一色の濃淡だけで表現するような絵画が描かれ始めたのは唐代からとされています。

そもそも「墨」が使われるようになったのは、中国・殷(BC17世紀-BC1046年)代から。
墨を使った絵画(壁画)は漢(BC206-220年)代にはあったそうですが、当時の絵画は墨の線に着色をしたようなもので、墨一色ではありませんでした。
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(写真) 匡廬図(ぎょうろず) 荊浩
荊浩(けいこう)は中国唐代の水墨画家で、初期の水墨画で有名な画家です。

その後、宋代(760-1277)には、文人官僚の余技(遊び)として水墨画が描かれるようになり、禅宗が普及する際に、禅宗に関する人物画が水墨画で描かれました。

中国の水墨画の表現は、写実表現を追求する段階で生まれた絵画と言われており、「写実的な表現」を試みた結果、色をつけることをやめ、墨の濃淡だけで表現する方法が生まれた所に興味深さがあります。
また、西洋絵画のような影の表現がないことや、写真のように精密な描写でないことも特徴的です。
これは、西洋画が「見たまま」自然なものの描写を試みたのに対し、水墨画はものの「本質」を描こうと試みたという、目的の違いがあると考えます。


日本での水彩画の歴史と特徴

奈良時代(710-794年)時代には、墨や唐代の墨画の技法が輸入され、木簡や壁画等に墨で書いた文字や墨画がありましたが、
いわゆる墨の濃淡だけで表現する「水墨画技法」が描かれるようになったのは鎌倉時代でした。
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(写真)鳥毛立女屏風(とりげりつじょのびょうぶ) 7世紀頃 136×56cm 正倉院宝物
奈良時代に伝わった唐代の墨絵技法がわかる絵画

鎌倉時代に中国から渡ってきた水墨画は、禅の思想を表す『達磨図』・『瓢鮎図』など。
禅宗が武士からの支持を集めたことにより、水墨画は多く描かれるようになりました。

さらに室町時代では水墨画が日本で独自に発展しました。
室町幕府・足利家が禅宗を庇護したことで禅文化が栄え、水墨画で有名な如拙、周文、雪舟をはじめとする画僧を多く輩出しました。
日本では、中国の水墨画家「牧谿」が一番優れた絵師とされ、牧谿の作品の模写が多く行われました。
中国の水墨画発祥の起源(写実)とは違い、「模倣」が発祥の起源だったためか、写実表現とは違う表現が生まれたところがポイントです。
日本の墨画は、水墨画がメインで、さらに禅宗の教えとともに広まったことから、「禅の考えを表す」という抽象的な表現を求められました。

また、初期の水墨画は人物画や花鳥画が多く描かれていましたが、この時期(15世紀)からは日本でも本格的な山水画が描かれるようになりました。
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(写真)秋冬山水図 雪舟等楊 室町時代15世紀 東京国立博物館 国宝

また、「詩画軸」が制作されるようになったことも重要なポイントです。
「詩画軸」とは、「詩・書・画」が一体として考えられる考え方を表した作品で、掛軸の画面下部に水墨画を描き、上部の余白に画題と関連する漢詩を書いたものです。
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(写真)紫門新月図 

また、琳派で知られる宗達光琳は、水墨画に日本的情感を盛り込み独特の表現をしたことでも知られています。



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投稿 2021.06.11
更新 
参考 

水墨画の技法
https://funart.hatenablog.com/entry/2020/04/26/182054
牧谿
https://funart.hatenablog.com/entry/2020/02/29/183702

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