つれづれ美術手帖

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絵画の真・行・草

こんばんは、今日は絵画の「真行草」についてお話しします。

 

 

「真行草」と聞くと、書道の書体を思い浮かべると思いますが、この言葉は、書道界で生まれたものの、絵画や華道、連歌などでも存在します。
中国では、「詩画一致」という、詩と絵画は同じものだという考え方がありました。

それもあって、同じような考え方で分類分けができていったのかもしれません。


*書道の三体(真・行・草)*
真 書 正格に書いた書体(正書・楷書)
行 書 真書と草書の中間

    真書を少し楽に書いたもの
草 書 正格を逸脱した風雅な書体

発 祥 4世紀ごろ 中国

時 代 日本には奈良時代に入ってくる

 

*絵画の画体(真・行・草)*
真 体 きっちりと描く

    墨の色の使い分けが細かい
行 体 真より少し崩して描く
草 体 崩して描く・余白が多い

時 代 日本には平安時代ごろに入ってくる

    鎌倉時代ごろに発展

その他 基本的に水墨画で言われる

 

いずれの世界でも、「真」がフォーマル(正式)なものという扱いで、行・草と流れていくにつれて略式になっていきます。

 

 

 

*真体*

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(写真)山水図巻 伝夏珪(かけい) 畠山記念館
このような絵画を真体といい、山水図の規範として参考にされていました。
真体では特に、墨の濃淡を丁寧に使い分けて描かれていたようです。

 

 

*行体*

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(写真)漁村夕照図(ぎょそんせきしょうず) 牧谿 13世紀 33.0×112.6cm 根津美術館 国宝

 

*草体*

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(写真)草山水図襖 狩野元信 8面のうち4面 16世紀 真珠庵

 

 

国宗元の画家に、馬遠・夏珪・牧谿・玉潤という漢画のスーパースターがいますが、

真体 馬遠・夏珪

行体 牧谿

草体 玉澗

…と、真行草それぞれに目標する中国画家がいました。

 

 

絵画ではこの画体に合わせて、絵画を格付けする文化が生まれました。
特に茶道の世界では、「真行草」の格を、訪問者やその場の「格」に合わせて取り換える習慣ができていったといわれています。

 

 

また、狩野派は「誰が描いても均一のクオリティで作品を完成させる」ことができるように、この真・行・草体の3種類で水墨画の注文を受ける工夫をしていたようです。

たしかに、人気絵師の◯◯さん風、よりもわかりやすいですね。

 

 

いかがだったでしょうか

内容の認識違い等ありましたら、ぜひコメント等で教えてください

 

それでは、また明日

 

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投稿 2020.03.24

更新 2020.05.02

参考