つれづれ美術手帖

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浙派と呉派

浙派(せっぱ)と呉派(ごは)

浙派と呉派は、中国 明代の絵画における二大流派です。
主に中心とした地域の違いから、浙派と呉派で分けられていますが、画風に関しても古典を重んじる呉派、違う文化の画風を取り入れる浙派,と違いがあります。

以下では,それぞれについて、少し詳しく書いていきます。


浙派

意 味 浙江(せっこう)省に伝来した奔放な画派
    呉派に対してつけられた名称
時 代 明代(1368-1644年)以降
地 域 中国 浙江省付近
流 れ 南宋 院体画(馬遠・夏珪など)
特 徴 粗放・奔放な画風
    南宋の院体画と李郭派(りかくは)の融合
人 物 戴進(始祖)・呉偉・張路
題 材 山水画


唐代(618-907年)以降、浙江省の付近では自由奔放な画法が伝来していました。
明代中頃,浙江省出身の画家・戴進(たいしん・1388-1462)がその自由な画風と中国の伝統的な院体画を融合させ、独自な画風を作り出したことが,浙派の期限と言われています。

(写真)春冬山水図(冬景) 戴進 15世紀 個人蔵
うまく省略が使われており、余白の美という感じです。

浙派と呼ばれる所以は
浙江省出身の画家が多いから とか
始祖の戴進が浙江省出身だから
・・・などといろいろ言われていますが、
とりあえず浙江省にゆかりがある画派のようです。

(写真)現在の浙江省

浙派の画家は文人画家の多い呉派に対して社会的身分が低く、技術も劣っていたため、浙派の画風をけなす風潮が起こり、呉派に吸収されていきました。
ちなみに、雪舟は浙派の新しい画風が一世風靡しているときに中国へ渡ってきたようなので、浙派の絵画をよく見ていたと言われています。


呉派

意 味 江蘇(こうそ)省を中心に活動した画派
    清代以降も文人画の王道となった
時 代 明代(1368-1644年)以降
地 域 中国 江蘇省
流 れ 北宋南宋
特 徴 巧みな筆遣い
人 物 沈周(始祖) ・董其昌・陳継儒
題 材 山水画

呉は江蘇省の古名です。

(写真)現在の江蘇省

呉派の始祖は沈周(ちんしゅう・1427~1509年)
沈周は低迷していた南宋画を復活させた人物として知られています。

(写真)廬山高図 沈周 1467年 台北国立故宮博物院
こうして見てみると、たしかに浙派の方が緻密で技巧に優れているというのがわかります。





いかがだったでしょうか

地図で見ると、隣り合った地域で発展した流派ですが、明代の首都が浙江省江蘇省のちょうど間にあったことから、中国東側に新しい2代流派が生まれたということも納得です。

内容の認識違い等ありましたら、ぜひコメント等で教えてください

それでは、また明日

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投稿 2020.06.09
更新 
参考 



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