つれづれ美術手帖

アート関連のアウトプットブログです。

岡本太郎

岡本太郎

生没年 1911-1996年
居住地 神奈川→パリ→東京
分 類 (抽象美術運動)
特 徴 「下手」な絵・抽象画・対極主義
代表作 太陽の塔、痛ましき腕、森の掟
その他 彫刻・絵画・工芸など 

    多数の作品を制作する

 

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(写真)明日の神話 岡本太郎 1968-1969年 550.0×3000.0cm  渋谷駅

(出典)This is media https://media.thisisgallery.com/works/okamototarou_01
長年行方不明でしたが、2003年に発見され、現在は渋谷駅の連絡通路に設置されています。
大作の多い岡本太郎作品の中でも、特に大きな作品の一つで、横幅は30メートル。そこに描かれる「核兵器」という壮大なテーマに、大きさも相まってより強いメッセージ性を感じます。

 

 

岡本太郎は、東京美術大学(現在の東京藝術大学)に入学するも中退し、1930年から10年間、パリで生活しました。
パリにいる間、ピカソの作品を見て強い感銘を受け、「ピカソを超える」ことを目標に絵画制作に打ち込むようになったようです。

 

太郎の制作活動は、朝起きてから寝るまで。

一度に2〜3作品を同時に進めるというやり方。

制作物は彫刻や絵画、身近な食器や椅子など非常に多様です。

一つの制作がある程度進むと、今度は彫刻を黙々とやる、そしてそれもひと段落したらまた違う作品を描き始める…といったように「多動」な芸術家だったようです。

 

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(写真)敗惨の歎き 岡本太郎 1924年
太郎が14歳の時の作品で、現存する最古の作品とも言われています。
ボートレースの試合で負けた悔しさを表現しているそう。

 

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(写真)痛ましき腕 岡本太郎 1936年 岡本太郎美術館
二科賞を受賞した作品。

パリ時代の作品で、特に太郎が自分の作風や進むべき道に行き詰っていたころの作品と言われています。
きつく結ばれたリボンや、ぎゅっと固く握られた手からも、緊張感が伝わってきます。

 

 

*ヘタな絵*

岡本太郎は職人芸のような、何年も修行して得られる技術を嫌い、

自分の中に瞬間に湧き上がる感情や情熱を描こうとしました。

 

「ヘタな絵が目的だ。そのほうが、人の本当の感動を突き止められる」

「こんなの絵じゃない!というものを描きたい」

 

ピカソも、「やっと子供のような絵を描けるようになってきた」という言葉を残しています。

抽象絵画の説明として、それが一つの答えなのかもしれません。

 

 


*対極主義*

岡本太郎は、「対極主義」を提唱した人物としても知られます。

「対極主義」とは、一つの作品の中に、対極(反対・矛盾)な2つの事柄を同時に入れることで、新たな世界観を得られる、という考え方です。
たとえば、「抽象と具象」「静と動」など…全く違う要素を一つの画面に収めます。

対極のものを画面内に収めることで、インパクトが出るだけでなく、自分の表現を強く伝えることができるのかもしれません。

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(写真)森の掟 岡本太郎 1950年 岡本太郎美術館
太郎の「対極主義」を最もよく表していると言われる作品。

この作品での対極するものは、自然と人工物、抽象と具象、赤と緑など。

森のど真ん中にチャック(作り物)がついた生き物が差し迫ってきています。
何か鬼気迫るものを感じますね。

 

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(写真)太陽の塔 岡本太郎 1968- 1970年 70m 万博記念公園
1970年に大阪で行われた日本万国博覧会の目玉で、現在は万博記念公園で見ることができます。
太陽の塔」には3つの顔があります

  • 黄金の顔 (正面上部にある)金色に輝く未来を表す(万博が開催されていた当時は、黄金の目がサーチライトのように光っていました。)
  • 太陽の顔 (正面真ん中にある)現在を表す
  • 黒い太陽 (背中の方にある)過去を表す

この他に、地下空間に設置された「地底の太陽」があったとされていますが、現在はありません。

この3つの太陽(顔)から、過去から未来への明るい発展やエネルギーといったようなメッセージ性を感じます。

太陽の塔」と「明日の神話」は、同時期に制作され、対となる作品と言われています。いったい、何をもって「対」なんでしょうか。考えてみても面白いかもしれません。

 

 

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投稿 2020.04.13

更新 2021.02.23

参考 

岡本太郎作品の動画は美術館公式YouTubeチャンネルがわかりやすく、5分以内で見れるのでおすすめです。

TAROちゃんねる「明日の神話

https://youtu.be/xk5g7yYKBzM

TAROちゃんねる「森の掟」

https://youtu.be/wqmwALBIfLs