つれづれ美術手帖

アート関連のアウトプットブログです。

似絵 やまと絵の似顔絵

こんばんは、
今日は似絵(にせえ)について、お話しします。

 

*概要*
意 味 写生的,記録的な肖像画の技法
分 類 やまと絵
特 徴 写実性・記録性が強い・目鼻立ちは細い線を重ねて描く
主 題 天皇・公家・武家歌人など 馬や牛も描くことがある
時 代 鎌倉時代初期
その他 藤原信実 (のぶざね) によって完成


似絵はやまと絵の中の種類で、肖像画のことを言います。
以前紹介した頂相も肖像画のことですが、頂相は唐絵の種類で、ジャンルが違います。
頂相との違いは、描き方もそうですが、描かれる「人」が違います。
頂相は禅宗の僧侶のみを描きますが、似絵は天皇・公家・武家歌人など、いろんな人を描きます。馬や牛も描くこともあったようです。
また、頂相は掛け軸に描かれていましたが、似絵は絵巻物や紙本によく描かれており、似絵を描く「理由」も、記録や儀式など、様々でした。

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(写真)随身庭騎絵巻 藤原信実 1247年

集団像なんかもあります。

 


源頼朝像(足利忠義)*

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この源頼朝像(足利忠義)は、日本の肖像画の最高作品だといわれています
源頼朝像」として知られていますが、これは足利忠義像かもしれない、という新説があります。
本人に似ていなくても素敵な絵ならそれでよいという考え方があったらしいのですが、結局どちらの人物を描いたものなのか・・・少し気になりますね。


*似絵を確立させた人 藤原信実
藤原信実(のぶさね)は、似絵というジャンルを作った人物として、また似絵名人として知られている絵師です。
貴族出身で、天皇の近くに居ながら天皇の日常の姿を描いたそうです。

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(写真)単身像 後鳥羽天皇
こちらは、後鳥羽天皇が13世紀初め承久の乱北条義時が失敗して隠岐に流される前日に描かれたものだったそう。