「霞(かすみ)」表現の役割
こんばんは、ふみです。
今日は、日本の絵画における「霞(かすみ)」表現の役割について、お話ししようと思います。
*概要*
意 味 空気中に浮かんでいる様々な粒子(霧や煙)が薄い帯のように見える現象のこと
分 類 やまと絵
役 割 装飾性を高める
空間(余白)づくり
奥行き
場面転換(コマ割り)
霞とは、前述のとおり、空気中に浮かんでいる様々な粒子(霧や煙)が薄い帯のように見える現象のことです。
春は霞、秋は霧と区別されていたり、雲と霞で区別があったりするようですが、ここでは雲も入れた、広い意味での「霞」表現について書かせてもらいます。
やまと絵によく見られる表現ですが、この霞を利用して描かれている絵画作品は数知れず、日本の絵画表現としてなくてはならない表現の一つです。
ここからは、そんな霞の、装飾性だけでない、霞の役割についてお話ししたいと思います。
*空間(余白)づくり*
(写真)禅宗祖師図 狩野元信 六幅のうち二幅 175.2×137.4cm 1513年 東京国立博物館蔵
こちらの作品は、霞でうまく隠れている部分には影こそあるものの、ほとんど何も描かれていません。
何も描かれていないけれど、そこには確かに空間がある。「余白の美」という感じですね。
*奥行き*
(写真)洛中洛外図屏風(らくちゅうらくがいずびょうぶ) 狩野永徳 国宝 1565年 159.2×361.8cm
こちらの作品は、手前のものの背後に、または奥のものの前に霞(雲)を描くことでうまく奥行きを表現しています。また、画面全体に描かれた町が金の霞で覆われていることで夢の都のような印象を持ちます。
*場面転換(コマ割り)*
(写真)源氏物語手鑑 土佐光吉 重要文化財
絵巻物では特に、霞が場面転換のために使用されている場合があります。
霞で区切ることによって、異なる場面を横に並べても違和感なく見ることができます。
場面の切り替えも線でブチっと切るのではなく霞で表現されているというのは素敵な発想ですよね。
いかがだったでしょうか。
内容の認識違い等ありましたら、ぜひコメント等で教えてください。
このブログでは、元美大生の筆者が、日本の絵画を中心に、毎日少しずつ語っていきます。ぜひコーヒー片手に、空いた時間に読んでもらえたら嬉しいです。
それでは、また明日
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投稿 2020.03.12
更新
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